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一回の依頼に上限を置く――AIエージェントの実行予算表

ELYSAI編集部6分
一回の依頼に上限を置く――AIエージェントの実行予算表

AIエージェントの月額費用は追えても、なぜ一件の調査が長引いたのか分からない。そんな運用を任されたテックリード向けに、依頼ごとの時間、モデル呼び出し、ツール利用、再試行を制限する「実行予算表」を紹介します。

予算の単位を「一件の完了」にする

請求額だけを監視すると、異常に気づくのは実行後です。先に「一件を完了するため、何をどこまで使ってよいか」を決めます。AWSの生成AI向け設計指針も、モデル応答、ツール実行、ネットワーク遅延を含む最大実行時間を見積もり、タイムアウトなどの停止条件を設けるよう示しています。[1]

予算表には、少なくとも次の六つを置きます。

予算項目数える対象上限時の動作
経過時間受付から完了まで実行を保留する
モデル呼び出し推論を依頼した回数追加推論を止める
入出力トークン各呼び出しの利用量短縮または保留する
ツール呼び出し検索、DB、外部API次の呼び出しを止める
再試行同じ失敗へのやり直し人へ引き継ぐ
外部書き込み送信、更新、発注承認を要求する

完成条件は、利用量が上限内だったことではありません。必要な成果物が揃い、未完了なら理由と途中結果を人へ渡せることです。

コピーして使える実行予算表

次は、仕入価格の差異を調べるエージェントを想定した仮の設定例です。数値は推奨値ではなく、最初の計測を始めるための初期値です。

task_type: price-difference-investigation
limits:
  elapsed_seconds: 180
  model_calls: 6
  tool_calls: 8
  retries_per_tool: 1
  output_tokens_per_call: 1200
  external_writes: 0
on_limit:
  action: pause_and_handoff
  include: [completed_steps, evidence, last_error, remaining_work]

OpenAIのResponses APIでは、生成量の上限として max_output_tokens、組み込みツールの合計呼び出し上限として max_tool_calls を指定できます。[2] ただし、独自ツールや複数回のAPI要求をまたぐ全体予算は、オーケストレーター側で数える必要があります。

上限はプロンプトに書くだけでなく、実行コードでも判定します。モデルが「あと一回必要」と主張しても、カウンターが上限なら止めます。判断をモデル自身に任せると、制限が運用規則ではなく希望になります。

4段階で上限を決める

1. 成功した実行を分解する

まず10件ほどの限定運用で、モデル呼び出し、ツール名、入出力トークン、経過時間、完了結果を一件単位で記録します。OpenTelemetryの生成AI向け属性には、ワークフロー名、ツール名、入力・出力トークンなどが定義されており、異なる実装でも記録項目を揃える手掛かりになります。[3]

2. 通常枠と例外枠を分ける

成功例の最大値をそのまま上限にせず、通常の依頼が収まる枠と、人の承認で一度だけ広げる例外枠を分けます。上限を広げる人、理由、追加量を記録してください。

3. 予算を一つずつ消費する

たとえば、価格差異の調査では、購買DBの検索、契約書の取得、差異理由の整理を別ステップにします。DBがタイムアウトしたら再試行を一回だけ許可し、再び失敗したら、取得済みの証拠と残作業を担当者へ渡します。別の検索語で無制限に調べ直してはいけません。

4. 「上限到達」を失敗理由として残す

停止時には budget_type、利用量、最後に成功した処理、未実行の処理を保存します。翌週の見直しでは、単に上限を上げず、不要なツール呼び出し、長すぎる入力、同じ失敗の繰り返しを先に直します。

止めすぎと使いすぎの間を設計する

上限が低すぎると、正常な依頼まで人へ流れます。高すぎると、異常なループを長く走らせます。そこで、読み取り処理は自動停止後に再開可能とし、外部への書き込みは予算が残っていても別途承認させます。費用制限と業務上の権限は同じものではありません。

一回で終わる固定手順しかなく、ツールも外部書き込みも使わないという場合には、六項目の実行予算を持つ方式には向きません。通常のAPIタイムアウトと出力長制限で十分です。

明日から使える実装チェックリスト

  • [ ] 対象業務を一種類に絞り、一件の完了条件を書く
  • [ ] 時間、モデル、トークン、ツール、再試行、書き込みを計測する
  • [ ] 通常枠と、一度だけ承認できる例外枠を分ける
  • [ ] 上限判定をプロンプトではなく実行コードへ置く
  • [ ] 停止時に途中成果、証拠、最後のエラー、残作業を保存する
  • [ ] 週次で上限超過の理由を分類し、上限より先に処理を直す

実行予算は、AIエージェントを安くするだけの仕組みではありません。一件ごとの完了条件と中断条件を同じ表に置き、どこまで自動化を任せるかを運用可能な形に変える道具です。

参考資料

  1. AWS Well-Architected Generative AI Lens: Create stopping conditions to control long-running workflows
  2. OpenAI API Reference: Create a model response
  3. OpenTelemetry: GenAI attributes

本記事はAIを活用して作成し、公開前に自動レビューを実施しています。情報の確認日:2026-09-30。

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ELYSAI編集部

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